佐賀簡易裁判所 平成5年(ハ)295号 判決 1994年2月24日
主文
被告は原告に対し、二八四万円並びに、うち一四四万円に対する昭和五五年一一月二六日から同年一二月二五日まで年8.1%の、同月二六日から支払いずみまで年14.5%(年未満の期間については一日0.04%)の各割合による金員、及びうち一四〇万円に対する昭和五五年一一日二六日から同年一二月二五日まで年7.6%の、同月二六日から支払いずみまで年14.5%(年未満の期間については一日0.04%)の各割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決は、仮に執行することができる。
事実及び理由
一 請求の趣旨 主文一項と同旨
二 請求原因の要旨
訴外Cが原告から借り受けた左記の各残債務について、昭和五五年一月二八日、それぞれ原告に対し、訴外Aが主債務者として免責的にこれを引き受け、被告がその債務につき連帯保証を約した1の残元金一四四万円及び2の残元金一四〇万円と各約定の利息・遅延損害金の請求。
1 同五一年一二月二八日借受けの三〇〇万円の残一四五万円
2 同五三年三月一六日借受けの二五〇万円の残一五六万円
三 理由
1 本件請求の訴えの利益について
(一) 甲一八号証・一九号証、弁論の全趣旨及び裁判所に明らかなところによると、次の事実が認められる。
(1) 原告と被告との間には、佐賀簡易裁判所が同庁昭和五八年(ハ)第一四六号貸金請求事件について同年六月二八日言い渡した判決(以下甲判決という)及び同年(ハ)第一六一号貸金請求事件について同年六月九日言い渡した判決(以下乙判決という)が存在する。
(2) これらは、本件の各請求原因と同一の事実に基づく同一の請求を認容し(甲判決は前記二1の基となる事実により、乙判決は同2の基となる事実による。)、被告に対しその給付を命じたものである。
甲判決は同年(一九八三年)八月一八日、乙判決は同年六月二五日、それぞれ確定した。
(3) 原告は、右各判決による被告に対する権利の消滅時効の進行を中断させるため、平成五年(一九九三年)六月二一日本件訴訟を提起した。
(二) この場合、原告として権利が時効によって消滅することを防ぐため再度の裁判上の請求をする必要性が認められ、他に時効中断の方法があるかどうかに拘らず(強制執行が必ずしも裁判上の請求より容易とはいえない。)、訴えの利益があるというべきである。
(三) このように訴えの利益が認められる以上、前訴が給付判決であっても、後訴の給付判決でより新しい時点に既判力と執行力を一致させるのが適当であり、それによって被告に特段の不利益を与えるとも認められないので、本件請求のように再度の給付判決を求めることも許されると解する。
2 本案について
前記1(一)の各事実によると、各請求原因事実は、前記各確定判決によって認定された事実であって、その判決の既判力によりそのまま肯認すべきところである。
3 以上によると、原告の請求はいずれも理由がある。